「お化けと呼ばないで」と言われたような気がした朝に、いちりん咲いているのを見つけて「わっ。お化けちゃん咲いたのね」と言ってしまった。
小さい頃から見ていて祖母から「これは、お化け水仙だよ」と教わってしまったものだから、ずっと「お化け水仙」と呼び、それ以上調べることもなかったが、蝦夷地に住むことになり敷地内の先住民でいてくれたおかげで調べなおすことになった。
住みはじめた翌春に芽々を見つけ水仙だとわかると草刈りをするときに気をつけながらずっとどんな花が咲くか待っていた。そして咲いたのが、フォンシオンだった。敷地内のいたるところに水仙の芽々を見つけては、草刈りに気をつけながら蕾があがるのを毎年待つ。
思い出の中でしか会えなかったフォンシオンは今、目の前で蕾をあげ、いたるところで花を咲かせている。今度こそ「フォンシオン」と呼びつづける。